最近はスマホで撮る写真よりもちょっと綺麗な写真を撮りたいということで、気軽に手を出しやすい1万円台のコンパクトデジタルカメラが売れているとのことです。
今回はコンパクトデジタルカメラをもし買うならどういった点に注意しておくべきか、またそもそもコンパクトデジタルカメラを買うのは妥当な決断なのかについて、所感を述べていきたいと思います。
カメラを選ぶに当たって注意しておきたいポイントや機能
まず1万円で買えるようなコンパクトデジタルカメラとはどういたものかということですが、下のリンクのようなソニーのDSC-W830がその一つであると思います。
いわゆる、誰もが最初にデジカメを買おうかというときに検討するであろう、コンパクトデジカメです。
こういったカメラを買うに当たって、普段中級機(10万円~20万円)と呼ばれるミラーレス一眼を使っている僕が、どういったところに注意しておけばよいかお伝えしようと思います。
選ぶポイントとして具体的には
●画素数
●センサーサイズ
●光学ズームとデジタルズーム
●スマホ転送
あたりを知っておいた方がよいと思います。
逆に、細かな〇〇モードやピクチャースタイルがどうのこうのといったメーカー独自の機能についてはそこまで気にする必要が無いと思います。
今の時代、スマホで写真の色味や雰囲気の調整などいくらでもできるので、気にすべきはどちらかというとハードの面が多いかと思います。
何万画素のカメラを選べばよいのか
まず一つ目の注意点である「画素数」についてです。
そもそも画素とはなのですが、画像データは縦横それぞれにピクセル(点)がいくつも並ぶことで全体の絵を表現するという仕組みです。
そのピクセルが縦に何ピクセル、横に何ピクセル並ぶかで画像のきめの細かさが変わってきます。
下の表を見ていただきたいのですが、よく聞くフルHDと言われる解像度は1920px×1080pxのピクセル数を持つもののことを言います。
画素数で言うと2073万画素です。
つまり、2000万画素くらいある画像データであれば、フルHDの解像度を持つディスプレイに画面いっぱいぴったりに表示しても粗くならずにキレイに見えるということです。
逆に、画像データが2000万画素だとしても、ディスプレイがHDサイズの920万画素くらいのものであるならば、そこまでの画素数のデータは必要ないということです。
さらに言うと、高解像度で有名なMacbookに粗くならずキレイに画像を表示させたいということであれば、大体4000万画素くらいの画像データが必要になるので、そのためにはその画素数で撮れるカメラが必要になります。
調べていると1万円台~2万円代で買えるカメラの画素数は、大体2000万画素くらいが多い印象です。
もしあなたがMacbookや4Kといった高解像度を要するディスプレイで綺麗な写真を見たいと思っていらっしゃるのであれば、再度検討し直す必要があります。
フルHD程度で見られればとお考えであれば、画素数の問題についてはクリアということになります。
センサーサイズとは何か
スマホからコンデジに移ろうと考えている方に何かアドバイスするなら、このセンサーサイズについての理解を深めることをおすすめします。
※センサー(撮像素子)とは、上の画像で言うと、カメラのレンズを外した内部にあるレインボーに見える板状のもののことです。ここにレンズからの光を取り込みます。
皆様が思われているスマホじゃ撮れない綺麗な写真って、立体感があって、背景がちょっとボケていてということだと思いますが、そういった写真を撮るために必要なのは、大きなサイズのセンサー(撮像素子)を持ったカメラです。
iphoneやスマホで撮った写真って、立体感がなく、ちょっと暗くなると画像が粗くなって綺麗に写らないと感じられる方が多いと思いますが、原因のほとんどはセンサーサイズの小ささです。
下の図を見てください。
iphoneのセンサーサイズは一般的に1/2.5型と呼ばれるサイズのものです。
図にしているので大きく見えますが、長辺ですら5mmちょっとです。
この極小サイズのセンサーでレンズから取り込んだ映像を捉え、高解像度のディスプレイの大きさに引き伸ばして表示するので、そりゃ無理があると思いませんか?
対してこの記事で説明しているコンパクトデジタルカメラのセンサーサイズは、スマホよりもちょっと大きい1/2.3型です。
どうでしょうか?このサイズのセンサーなら綺麗な写真が撮れる!と思われるでしょうか?
正直言って僕はこのサイズのセンサーであるならば、もう少しお金を出して1.0型かマイクロフォーサーズを買います。
ここに関しては費用とカメラ自体の大きさも、ほぼセンサーサイズに比例してデカくなってくるので、そのあたりとの相談です。
ちなみに僕はAPS-Cというセンサーサイズのカメラを使っています。
このサイズのセンサーだと下のような写真が撮れます。
背景がボケていて立体感があり、その場の光や空気感を撮るって、こういうことをイメージではないですか?
特にボケを活かした写真を撮りたいと思っているのであれば、最低でもマイクロフォーサーズくらいは無いとカメラの仕組みとしてボケを作るのが難しくなるので、再検討が必要になります。
僕が使っているカメラです。
上の写真は全て下の2台のどちらかで撮りました。
センサーサイズはほぼ同じで、APS-Cです。
光学ズームとデジタルズーム
スマホがデジタルズームしかできないのに対して、コンパクトデジタルカメラが優位である点はこの「光学ズーム」ができることです。
デジタルズームはレンズを使うのではなく、写った画像自体を無理やりデータ上で引き伸ばして、さもズームしたかのように見せる方式です。
対して光学ズームは、レンズを使ってズームインして映像を拡大させます。無理やりデータを引き伸ばしてはいないので、綺麗に写ります。
例えば、暗いところで撮ると、写真にノイズが入ったみたいにガサガサ・ザラザラになるのを見たことがあると思います。特にそういった場面でデジタルズームを使うと、暗くてザラザラでそもそも画像が汚い状態なのに、その上でノイズごと拡大するようなことになっしまい、て相当汚い写真になります。
ただでさえ小さなセンサーで捉えた映像を無理やり引き伸ばして表示しているのに、ノイズが乗ったものを引き伸ばすとなるとかなり汚くなるのは目に見えています。
こういったところがデジタルズームの弱点であり、逆に光学ズーム倍率が高いほど遠くのものをより綺麗な状態で写すことができます。
スマホ転送がその場でできるか
軽く調べてみましたが、コンパクトデジタルカメラにはそもそもbluetooth機能が搭載されていな機種も多く、型落ちの機種であればあるほどそういった傾向にあると思います。
スマホでその場で確認して楽しみたいと考えているのであれば、コンパクトデジタルカメラ関係なく、bluetoothやwi-fiを使った転送機能がついているかといった点を入り口にして考え直す必要があるかと思います。
例えばソニーのRXシリーズというコンパクトデジタルカメラは、ソニーが出している「Imaging Edge」というアプリを通してスマホに転送ができます。
ソニーのRXシリーズは1.0型センサーを搭載し、オートフォーカスの速さなどにも定評がある人気のシリーズです。
現状MK1からMK7まで出ているので、性能を見比べてみてこのシリーズから気に入ったものを選ぶのも良いかと思われます。
1万円程度で買えるコンデジ候補
アマゾンでざっくり1万円代~2万円代で買えるカメラを調べてみると、下のようなカメラが妥当なのではと思われます。
ただ先程も言ったとおり、センサーサイズはかなり小さいものなので、ボケなどを活かした綺麗な写真が撮りたいとお考えなのであれば、最低でもマイクロフォーサーズから上のサイズのセンサーで考えた方が良いのではと個人的には思います。