撮り方の話

ストロボライティング / 1灯目の考え方

撮り方の話

まずはストロボライティングにおいて最も重要と言われる「1灯目」を置く場所や角度などについて、説明していきたいと思います。

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1灯目を決めるための考え方

ストロボライティングにおける1灯目に関しては、何を照らそうとしているのか、またそれをどういった印象に見せようとしているのかを考えるのが重要です。

一番見せたい部分はどこか

一番重要な考え方は、ストロボを当てて、何をまたはどこを一番見せたいのかということです。

1灯目を置くに当たっては、まずはこれから何を撮ろうとしているのか、そしてその被写体のどの部分を照らして最も強調すれば良い感じに見えるのかを考えるようにすべきです。

人間であれば顔ですし、料理であれば皿の上に乗っている料理になりますし、服であれば前身頃というのでしょうか、正面部分になります。

人間の目は、光が当たって明るく照らされている部分に目が行きやすいので、ライティングにおいては、というか絵を描くにしても資料を作るにしても何でもそうですが、最も人に見てほしい部分を強調するためにその部分を照らしたり装飾したりするわけです。

光の来る方向と、影を出したい方向を決める

光を当てるべき場所が決まれば、次はどの方向から光が来て、どちらに影が伸びるようにすれば良い感じに見えるのかを考える必要があります。

結論から言いますと、光が来るべき方向は、被写体にとっての「上」方向であり、写真の画角内においても「上」方向であるべきです。
※例外というか細かい話をすると、サイド光もありますので、画角内においては左右から光が来てもおかしくはないです。

この原則に反してライティングを組んでしまうと、例えば料理写真を撮るときに手前にストロボを置いて撮ると全然美味しくなさそうに見えるといったようなことが起きます。
これはなぜかというと、テーブルに置かれた料理を斜めからカメラを構えて撮るときに、被写体や画角内においての上方向は料理の向こう側になるはずであるのに、手前にストロボを置いてしまっているからです。手前に置いてしまうと、現実世界ではありえないような下からライトが当たっているような状態になってしまい、違和感が生まれてしまうということです。

もちろん手前にストロボを置くこともあります。
例えばテーブルにワインボトルを置いて撮るときに、ストロボは手前に置いてワインの正面に光を当てますが、これはなぜこれで良いかというと、被写体であるワインボトルの上からかつ画角内においても上の方から光が来ていることになりますし、第一に大原則である最も見せたい部分に光を当てるということが、ワインボトル正面のラベルに光を当てることで達成されているからです。

光を当てる角度も重要

光を当てる方向がだいたい決まれば、今度はどのくらい角度をつけるかを決めていきます。

例えば料理写真においては、スタンドを伸ばしてより高い位置から当てるのか、それとも低い位置から当てるのかで印象が変わってきます。
高ければ高いほど全体が満遍なく照らされる代わりに陰影がつきづらくなりますし、低いところから当てるとストロボと反対側には光が届きにくくなり陰影がついたイメージに仕上がります。

これに関しては、どの角度から当てるのが正解かは決まっていません。
難しいですが、どういったイメージに仕上げたいかを持って角度を決める必要があるかと思います。
特段クセのない、でもそれなりにしっかり立体感は見せたいから、少し角度をつけようなのか、陰影を強くして高級感を出そうなのか。
人の撮った写真を見て考察してみたり、自分で撮って試行錯誤したりしながら、どういった場面でどのくらいの角度でストロボを置くと自分のイメージに近い仕上がりになるのかを蓄積していく必要があるかと思います。

どれくらいの範囲に光が当たっているか

意外と見落としがちなのが、どのくらいの範囲に光が当たっているかを意識できていない、というものです。

ストロボ直射ならストロボの発光部分、ソフトボックスなどをつけているのであればディフューズ面から光が放たれ、発光部分の中心からの延長線上が最も明るく、周辺に向かうにつれて徐々に暗くなっていくというのはお分かりいただけるかと思います。

つまり、光を当てたいと考えている範囲を満遍なく均等に照らしたい場合、光源が被写体に近づきすぎないように気をつけなければなりません。

もし一部分だけ極端に明るくて、その他の部分が暗く落ちている場合は、光源を被写体の一部に近づけすぎていることで、光が届きづらい周辺部分が画角内にかぶってきていることが考えられます。

例えば人物撮影で、上半身は良い感じなのだが足元が暗すぎるといったような場合がこれに当たります。

被写体と光源の距離を離せば一旦は解決するが・・・
人物を頭から足の先まで一灯でライティングしたい場合は、照射範囲が人物の全身をカバーできるように光源を遠ざける必要があります。

ただこのやり方にはデメリットもあります。
一つは、ストロボのパワーが必要になるというものです。
ストロボの光量減衰に最も影響を与えるのが被写体との「距離」です。
被写体との距離が2倍になれば、同じ明るさに保つのに必要な光量は4倍になります。

もう一つは壁や天井など周囲の環境に影響されやすくなるというものです。
被写体と光源の距離を離すことで、光源と被写体の直接の距離と、壁や天井に跳ね返って被写体に光が届く距離が近くなります。
壁や天井に当たった光の影響を被写体が受けやすくなると、光が回っているため一見明るく見えるのですが、余分な色を拾ってしまったりコントラストが低くなってしまったりします。

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