撮り方の話

【基礎】構図の作り方 / 写真はバランスが9割

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被写体のポイントとなる部分はどこか

写真を撮るとなったときにまず確認したいのが、撮りたい被写体の一番のポイントとなる部分はどこかということです。

ポイントとは、一番見せたい部分、いわゆる主題であったり、どうしても目立つ部分・目が行く部分であったりします。
主題はそのままの意味で、花を撮りたいなら花、人間を撮りたいなら顔や目になります。
目立つ部分は、例えば何もない草原に牛が一匹いたら、問答無用でその牛に目が行くのでその牛がポイントになりますし、夜の街で明るいネオンや街頭があれば人間の目は明るい部分に行くので、その場合も明るい部分をポイントとして考える必要があります。

上の写真であれば船、下の写真であれば明るい街灯がポイントになりますというか、ポイントにせざるを得ない状況です。

第一段階として、このポイントはどこかということを明確に意識できるかどうかで構図作りがうまくいくかどうかが分かれるのではと僕は考えています。

初心者の頃はあれも入れたいこれも入れたい、目の前の風景がなんとなくキレイだからガバっと全体を入れて撮りたいという風になりがちで、これがいわゆる引き算ができていな状態であると思いますが、こうなってしまうと、ポイントがどこか絞れていないので構図作りに苦労すると思います。

ですので、まずはどこがポイントとなるのかを明確にした上でカメラを構えるとよいと思います。

写真はバランスが9割

ポイントが絞れれば、次はそのポイントを画角の中でどの位置に配置すればバランスが良くなるかを考える段階に移ります。

正直言って、このバランスを撮るという作業が写真の出来栄えをほぼほぼ決めてしまうのではと、現段階における結論として考えています。

バランスを撮るといってもそれが一番難しく、面白く、撮る人の感性が出る部分であると思うので、こうしたらバランスが良くなりますとは一概には言えないので、そこは皆様がバランスが良いとはどういう状態かを意識しながら日々の撮影に望んでいただければと思います。

下の川の写真であれば、右半分の波が立っている部分と、左上の明るい部分をどういう比率で入れるかがバランスを取るということであり、センスが問われる部分であります。

一つの指標となるのは、○○分割構図と呼ばれるものであるとは思います。あれは、様々な写真を見比べてみると、だいたいこの位置に主題があるとバランス良いよねという帰納的な手法によって導き出された一種のセオリーと言いますか、基本みたいなものなので、まずはそれに当てはめてみてバランス良く見えるかどうか確認するというのも手だとは思います。

ただ○○分割構図も、様々な具体例の最大公約数的な結論を導いたにすぎないので、全てがその構図に当てはめるとうまくいくとは限らないため、あくまでもツールの一つとして活用はしつつも、こうした方がバランス良く見えると思える構図があるなら、そちらにもっていくべきであると思います。

構図の中でも、日の丸構図は良くないとされることが割と多いような気がしますが、それも必ずしも悪いとは言い切れないと思います。主題以外にも様々な要素があれば、それらとバランスを撮って例えば三分割構図に持っていくということがあるかとは思いますが、主題以外に特に要素が無ければ主題をど真ん中に持っていく方が綺麗に見えると思いますし、逆に意味もなく三分割にする理由が無いですよね。

余談:「写真は引き算」の意味

写真の構図作りに絡む哲学的なものとして、「写真は引き算の芸術」と言われることがありますが、僕はそこまで引き算することを意識しなくても良いかなと思っています。

引き算すること=良い写真になるということではないですよね。
引けば引くほど良い写真になるのであれば、究極的にはマクロレンズで寄り切ればいいのかというと、そういうわけではないですよね。

つまりはここに関してもバランスだと思います。

主題が主題と分かるように、主題の置かれている状況が分かるように周囲の環境を画角内に収めつつ、でも主題がどれか分からなくならない程度には抑えておくということが大切なのだと思います。

例えば下の2枚は見比べてみてどうですか?
上の写真はちょっと引いて、木も入れることで何となく周囲の様子が分かって良いのではないでしょうか。
でも主題は紅葉だと分かりますよね。
こういう感じで、主題が主題と分かるように、しかもそれが置かれている状況が分かるようにしつつ足し引きのバランスを撮るというのが「写真は引き算」の本質なのではと思っています。

日の丸構図にする意味として他に上げられることは、画角内において真ん中という位置は必ず目が行く重要な位置であるということです。この重要な位置を意味もなく空白にするということはイコールバランスが悪くなるといことにつながりますので、なるべく画角内の重要な位置に見せたい被写体が置かれているという状況にもっていくことがバランスの良さにつながると思われます。

例えばですが、下の写真は右側にある花が主題であると読み取れますが、画角中央やや下の部分に何もない空白がありバランスが悪くなっています。
反省としては、この空白を埋めるようにもう少しカメラを下げて左下の前ボケをもう少し中央付近に持ってきつつ、左上にあるカラフルな背景ボケを有効に活用すべきであると言えます。

似たような話を書きにも書いていますので、よろしければ読んでみてください。

カメラの構え方

下の記事にも以前に書いたのですが、カメラは基本的には正面を向けて、上下左右傾きなどが一切ないようにするのが基本であると思っています。

逆に、下を向いたり、斜めから撮って奥行きを見せたりするときは、そうすることで見せたいものが見せられると思ったときにそうするべきです。
理由もなく見下ろす見上げる、斜めから撮る、傾けるなどをすると、写真を見る人は無意識にでもそういった撮り方をしていることに意味があるのかを考えてしまうと思うので、本当に見てほしいものにすんなり目が行かず、見辛い写真になります。

ただ例外はあって、ビルなどの建築物は見上げるしか基本できないので、そういう場合は見上げて撮る構図でバランスの良い構図を探ることになります。

真正面から傾きなくきっちり撮ることを意識するメリットとしては、撮るときに迷いが少なくなるというものもあります。

写真の難しさの一つとして、どの角度から撮っても良いし、どのようにカメラを構えても良いという、無制限さがあると僕は思っています。人間にとってこの無制限・自由・なんでもOKという状態は楽しそうなようで、実は判断することを丸投げされており、むしろ難しい状況であります。写真を撮るという行為、特にスナップ撮影においてはある意味この無制限状態との戦いでもあるので、その解決策としてカメラを正面に向けてきっちり正対するという制限を自分で設けることにより、かなり撮影が気楽になるのではと思います。

正面に構えてみて、なんかハマらないなとか、奥行きを見せたほうが状況が伝わるなと思ったときに、初めてカメラの角度を変えるという流れで構図を作っていくのが良いと思います。

書いてみて思うのですが、こういう記事って注目されづらいと言うか読まれづらいんですよね。

ただこの理屈が何を撮るにしても本質であると思うので上達には必須であると考えますし、この理屈を実感できるようになってから写真集や撮影テクニック本なんかを読むと、その本に載っている写真の見え方が全然変わりますよ。

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