僕は、写真の撮り方について理詰めで理解していきたいタイプですので、このようなノウハウと言いますか、哲学的なことも発信していこうと思います。
今撮ろうとしている目線は、誰の目線なのか
カメラを始めた当初は、どう撮ればうまく見えるのか、どの角度から撮ると良い写真になるのか、よく迷っていました。
ノウハウ本などを見ると、「あおって撮るとダイナミックでかっこよく見えます」だったり、「低い目線から撮ると普段とは違う視点が見れて・・・」といったような断片的な知識は欠かれているのですが、なんでもかんでもあおれば良いわけでもないし、これらの技術をどう整理して自分の中に落とし込んでいけばよいのか、よく悩んでいました。
自分もカメラを持って定期的に出かけるようになってから、2,3年しか経っていませんが、何となく見えてきたこととして、「何目線・誰目線」を意識しているのか、「被写体のどの部分を強調したいのか」が、撮る位置やアングルを決める一つの条件になるのではないかという結論に至っています。
基本は「正面」で良い
ですので、特に誰かの視点を意識する・何かを特に強調する必要がなければ、基本的には真正面から撮れば良いと思います。
また、真正面から被写体を撮ることで、主たる被写体以外の要素をどれくらい画角の中に含めるのかということや、主たる被写体のバランスの良い配置(ど真ん中が良いのか、3分割構図のような配置が良いのか)を考える、良いトレーニングになるとも思っています。
さらには、真正面からまずは撮るという自分の中でのルールを決めておくことで、撮りたいものを見つけたときに、どう撮ろうか迷ってあたふたすることも無くなります。
あと、あまり言いたくはないのですが、真正面からの写真って、映える写真が結構簡単に撮れる気がします。ここは結果論であって、構図の本質ではないと思うので、そこまで強調したくはないですが。
結局は、上下左右にしか移動できない
そもそも論になりますが、カメラを持って視点移動できるのは、「上下左右」もしくは「寄る・離れる」のみです。
この条件の中から自分が撮りたいイメージに最も近づくような視点移動を選んで実行するということになります。
こう考えると、結構気楽になるのではないでしょうか?
人間、選択肢が無限にあると何をやっていいのか分からなくなるのですが、一定の制限を設けることでその中から選ぶことができ、事を前に進めやすくなります。
寄れば良いわけでもない
ただ、ここでの問題としては、写真は引き算だから寄れば良いというわけでもないということです。
この点は上でも述べた、一番良いバランスを探すという部分とも共通しているところではあると思うのですが、「寄りすぎず寄らなすぎず」なポイントを探すことが重要です。
寄りすぎると、撮りたいものが何かは明確にはなりやすいのですが、周りの状況が分からなくなり、そのときならではの状況説明が無くなるので、面白みが無くなります。
逆に、寄らなさすぎるとただ目の前にある景色を見たまま撮っただけの、何の創作意図もない記録写真にしかならなくなります。
なので重要なのは「バランス」なわけで、状況説明はそれなりにするんだけど、説明しすぎない絶妙な塩梅を探っていくということが、「写真」をやる上ではとても大切だと実感しています。
被写体の一番良い部分が写る角度を探す
ではどうやって上下左右動ける中から一番良いアングルを探すのかということですが、まずは撮りたい被写体の一番良いところ・美しいところ・かっこ良いところが目立つ角度で良いのではと思います。
例えば花なら上から、子どもなら子どもの表情が分かるように正面からといった具合で、ここで初めて、子どもの表情を写したいから、真上からではなく正面からといった考え方が出てくるわけです。
ただ、人間だったらまずは顔というのが瞬時に思い浮かぶとは思いますが(例外で、シルエットがかっこ良いから顔ではなくシルエットという考えもある場合もあると思います)、これがスナップだと、自分は何に心がときめいて写真を撮ろうとしているかが瞬時に整理できず、あたふたして結局何が撮りたいのかが分からなくなることが多いような気がします。
この点においてスナップは、撮りたいもの・見せたいもの・ピントを合わせる位置などを瞬時に整理する良い訓練になると思います。
意味のある視点移動を
やたらにあおる
確かに、下からあおって撮ると普段見えない景色がみえることで新鮮さは出ますし、広角レンズで撮ると誰でも簡単にパースの効いたインパクトのある写真が撮れますので、結果だけを見るとかっこ良くはなりやすいと思います。
結果的に良ければそれでよいかもしれませんが、僕としては、数ある選択肢の中からその手法を選んで使っているというのがより重要なのではないかと思います。
どう撮りたいかがないままその手法を使って撮っているというのは、要は何をしたらどういう絵になるということがつかめていないということになると思うので、自分の作品がいつまで経っても撮れないのではと思います。
また、あおったらかっこ良くなるという短絡的な発想におちいることで、都度考えることを放棄してしまうことも問題ではと思います。
真俯瞰はオシャレなのか
雑誌などでおしゃれに撮ってある写真を見ると、真俯瞰からのものが多いような気がしますが、真俯瞰は確かに映えるとは思います。
また上でも述べた真正面から撮る手法にも似ており、そこまで背景のバランスなどに気をつけなくても、比較的容易にインパクトのある写真が撮れるとは思います。
結論|まずは自分の目線or真正面
タイトルの通り、まずは自分自身の目線、もしくは被写体の真正面に入り込んでとることをファーストステップとするのはどうでしょうか?
まずはこうするというマイルールを決めておくことで、だいぶスナップなんかがやりやすくなると思います。
自分自身の目線や真正面からでは自分の望む絵にならないと判断した場合は、セカンドステップとして、思う通りの絵になるアングルにカメラを動かしてみるというようにすると良いと思います。
まずは定番・王道・どストレートに撮ってみて、「いや、こうじゃないんだよな」というのが出てきたら、それは自分の作品に近づいているという意味ではないでしょうか。