ミラーレスを買った当初の写真の撮影データを見てみると、F16やF22といった絞りをバンバン使っており、カメラを買った当初は、絞りにはどんな役割があるのかを全く理解できておりませんでした。
今でこそ日中はF4〜F8辺りで、やや暗くなるとF2.8より開いて撮ろうといった基準が自分の中にできてきました。
最近はカメラが全てオートでうまく撮れるように設定してくれるので、絞りについても特に意識しなくても撮れるといえば撮れますが、どうせカメラをやるなら絞りの機能について理解して、思い通りの写真を撮れたほうがカメラライフがより楽しくなるのではないでしょうか。
まず絞りは「開放」から始める
絞りについて議論すると、どこまで絞るかという絞ること前提の議論が始まるような気がしますが、まずはカメラの性能・特長が一番出ると言われる「開放」から始めてよいと思います。
意味も分からず、絞れるから絞るというのは一番良くないです。
また、そもそもカメラは基本的には光を取り込んでなんぼの機械なので、まずは「開放に設定する」で良いと思います。
これからは「開放」を基準・0の状態としてスタートしましょう。
<基準を持とう!>
絞りに限らず、自分はまずどういった状態を「基準・0・フラット」と考えるのかは、シャッタースピードやRAW現像など、あらゆる要素において重要と思います。
基準があるからこそ、今自分はやり過ぎているのか、やらなさ過ぎているのか、順調なのか良からぬ方向に行っているのかが分かるのだと思います。
ぜひ皆さんも、自分の中でのフラットな状態を持つことを意識されてはいかがでしょうか。
絞りを絞るとどうなるか
絞りはまず「開放」から始めるとして、では絞ることの意味とは何なのでしょうか。
「絞る」とは / 「開く」とは
そもそも「絞る」とは、例えばF2の状態をF2.8にしたら「1段分絞った」ことになります。カメラを正面側から見ていただくと分かると思いますが、絞り値を変えると絞り羽根という金属のパーツが10枚くらいついているものが閉じていき、これが絞っているという状態です。
反対に絞りを「開ける」とは、絞り羽根を開いていくことです。
開けば開くほど、F値も小さくなります。
絞ると・開くとどうなるか
ここでは、絞ることや開くことにより得られる効果をご説明します。
絞りの役割1|明るさが変わる
絞りを絞ると、絞り羽根が閉じていくわけですから、当然レンズに入ってくる光の量も少なくなります。逆に絞りを開けると光を多く取り込むことが出来ます。
これが絞りを絞ったり開けたりすることにより生まれる1つめの効果です。
露出は「シャッタースピード」と「ISO感度」で調整する
絞りの開け具合により光を取り込める量が変わりますので、他の機能を使って光の量を調節しなければなりません。このときに使うのが「シャッタースピード」と「ISO感度」です。
カメラは「絞り」「シャッタースピード」「ISO感度」のいわゆる「露出の三角形」を調節することにより、カメラ内に取り込む光の量を調節する機械です。
絞りを絞ったり開けたりした際には、三角形の残りの要素である「シャッタースピード」と「ISO」感度を使って、自分の撮りたいイメージに合うように光の量を調節する必要があります。
そして、これらの調節を手動でやるのが「マニュアル露出」です。
カメラ上部についているMモードに合わせることで、全て手動で調整することができるようになります。
ただ、最近のカメラは「測光」(光の量をカメラが測ること)が優秀ですので、絞りを好き勝手変えても、カメラが残りの2つの要素に関しては良い感じに調整してくれますのでそこまで気にしたことは無いという方も多いと思いますが、実はシャッタースピードとISO感度が裏では微調整されているという訳です。
絞りの役割2|被写界深度が変わる
センサーサイズの大きいカメラを買って一番楽しいのはこの機能ではないでしょうか。
絞りは開けるほど背景がぼけて、絞るほど背景がぼけにくくなります。いわゆる「被写界深度」が変わるという機能が、絞りを絞ったり開いたりすることにより起こる変化の2つ目です。
被写体じゃなくて、”被写界”ですよ。
そもそもピントというものは、センサー面に対して平行に、面で合います。
面で合いますので、カメラを上に向けたり下に向けたりすると、センサーの上の方や下のほうが被写体から微妙に離れたり近づいたりするので、ピントがずれるということになります。
話を戻すと、このピントが合っている面(ピント面)の範囲・厚みを、絞りを絞ったり開けたりすることによってコントロールできます。
開けると薄くなり、絞ると厚くなります。
この、厚くなって手前から奥まで広い範囲にピントが合う状態が、被写界深度が深い状態と言います。
被写界深度が深いと・浅いと何が良いのか
どこまで絞るか・開くかは個人のセンスによるところが大きいと思いますが、一般的には風景のような手前から奥までピントを合わせたい場合には絞り、花や人物のような特定の被写体にピントを合わせて、背景から浮き上がらせたい場合には絞りを開けることが多いと思います。
絞りの役割3|絞った方がくっきり映る?
ほぼ余談ですが、カメラのレンズは開放から1段絞ったときが一番そのレンズの良さが出るというような、都市伝説的な話があります。
確かに、安いレンズで開放で撮ると輪郭がボヤボヤしていまいちくっきりパキッと映らず、1段分絞ってみるとくっきり写りやすいということは、僕自身も経験しています。
ですが、ピクセル等倍まで拡大してみて「あーちょっとボヤケてるな」程度の問題なので、くっきり写したい気分なら1段絞ってみるかぐらいの捉え方でよいのではと思います。
開放でレンズの性能を活かす
反対に、開放はそのレンズの特長が出やすいとも言われていますので、特長を引き出すためにあえて開放でしか撮らないという方もいらっしゃると思います。
ですが、こちらもレンズ遊びの領域だと思いますので、気持ちに余裕ができれば試して見る程度で良いのではと思います。
まとめ|絞る意味を考えて絞る
絞りを変えることで
●「明るさ」が変わる
●「被写界深度」が変わる
●絞ることで「くっきり」映る
ということが分かりました。
これらを踏まえて、
・自分は今どういう絵面で撮りたいのか、
・絞りを開けすぎてシャッタスピードが足りなくなっていないか、
・絞りすぎて暗くなりISO感度が上がりすぎていないか
といった課題と照らし合わせて、絞りを絞るのか開けるのか考えます。
開放を基準に、なぜ開放から絞るのか、絞るなら何段分絞るのか、何段分絞ればシャッタスピードが足りるのか、逆に何段分開ければISO感度が思うように下げられるのかなど絞る理由を考えて絞るようにしましょう。
そうすれば昔の僕みたいに、謎に絞りが16や22といった数値で撮りまくることも無いと思います。
おすすめのレンズ
絞りを開けると明るく撮れる!背景がボカせる!というと、F値の小さい明るいレンズが正義のように思えますが、必ずしもそうではありません。
光を多く取り込める=口径がでかい=レンズがデカくて重いということにつながるので、旅行や街撮りのスナップなどで使う場合にはデカくて重いレンズは取り回しが悪くかなり不便です。
しかも晴れた日の日中は明るく、絞りを常時F4〜8くらいに設定しておいてもよいくらいですので、常にF1.4で使うなんてことはほぼないと思います。
開放F2で十分
僕は富士フイルムのF2レンズを使ってみて、その大きさや重さ、小型であるゆえの取り回しの良さ、F2という運用上問題のない開放F値などがめちゃくちゃしっくりきました。
最初のカメラはどのメーカーにしようかと迷っていらっしゃる方、富士フイルムとXマウントのF2レンズから始めるのはいかがでしょうか。
軽くてコンパクトで、持ち運びも苦にならないですよ。