「ゼロ位置」とは
「ゼロ位置」とは僕が勝手につけた名前で、業界標準とかではないのですが、語呂もよくしっくりきたのでこの名前で自分では納得して使っています。
ゼロ位置とは、あおらず・下を向かず・左右に振らず・傾かずの状態のことで、要は上下左右の角度をつけずまっすぐ被写体にカメラを向けた状態のことを言っています。
言い換えると「フラットなカメラ位置」とも表現できるかと思います。
横から見た図
まず横から見たときに、カメラの光軸が地面に対して平行になるように構えます。
地面が斜めになっていたら、その場合は地面との平行を考えるのではなく、地球の中心からまっすぐ伸びてくる線があったとしたら、それと光軸が垂直に交わるように意識します。
このように構えることで、あおらず・下を向かずの状態になり、センサー面が被写体に対して平行になります。こうすることで、変にあおり気味や見下ろし気味にならず、きっちり垂直が出せます。
また、カメラの中心が、撮りたい範囲の真ん中の高さに来ているかどうかにも注意が必要です。ただカメラを真正面に向けただけでは、撮りたい被写体が画面の中で変にスミの方に寄ってしまっていたりします。撮りたいものが画面内の適切な位置にきていて、かつ上下に振れていない状態を作ることが必要です。
上から見た図
次に上からみたときにも、センサー面が被写体に対して平行になるようにします。
変に左右に振らず、被写体に対して真正面からカメラを構えることを心がけます。
こうすることで、例えば寺社仏閣にあるような整然とならんだ石の階段を撮ったときにも、きっちり水平を出すことができ、違和感のない整った写真に仕上げることができます。
左右に振れてしまっている写真は、例えば下の写真のような場合です。
下の歩道と車道の境目あたりが斜めになってしまい違和感を感じると思います。
あえてこういうことをすることは無いとは思いますが、もしこれが狙いならこれで良いと思います。でも始めて見た人はバランスの悪さにまず目が行ってしまうと思いますので、そういった違和感を無くすためにも水平垂直がきっちりとれる「ゼロ位置」から撮ることをおすすめしますというのが今回の趣旨です。
「ゼロ位置」を意識すると何が良いのか
写真がすっきり見える
水平垂直がきっちり取れることで、変に斜めになっているなどがなくなり、違和感のないすっきりした写真が撮れます。
悪く言うと面白みに欠ける動きの無い写真とも思えますが、フラットな状態を知らずしてオリジナリティを出しにいこうとするよりも、まずはフラットな状態とはどういった状態かを知っておいた上で、自分ならこう見せたいからあえてこの角度から撮るといったようにした方が、どういう風に撮ったらどう見えるかを理解した上で写真を撮ることができるようになるのではと思います。
画角を考えるようになる
上下左右どの方向にも振れておらず、水平垂直のきっちり撮れた写真を撮るためには、上でも説明したように被写体のど真ん中を見つけなければなりません。
ど真ん中が見つかる=上下左右の端が分かっている・決まっている状態にあるということなので、どこからどこまで写そうという意識を常にもっていることになり、いわゆる画角感が身につきます。
どこからどこまで写そうと考えられることは、その被写体・シーンを説明する上で何を写しておくことが必要で、何を写さなくて良いかを考えられるということにつながりますので、様々な被写体・撮影スタイルに応用できるものであると思います。
構図の迷いが少なくなる
まずは真正面・フラットな位置から撮るということをルールとしておけば、どう撮ったら良い感じになるか迷う場面であっても、撮影に入ることができます。
目で見たときは良い雰囲気なんだけど、写真に撮るとなったときに良い構図が見つからない場面も多いとは思いますが、撮り始めるときのルールとしてフラットな位置から撮ることを定めておけば、すんなり撮影に入れますし、撮れた写真を見て角度を変えるのか、もっと寄るのか等も考えやすくなると思います。
観光写真から脱出できる
始めてカメラを買って撮った写真って、今立っている位置から自分の目線そのままで撮った写真が多くないですか?
観光写真になってしまう原因の一つはこれだと僕は考えています。
何をポイントとして撮るのか、どこからどこまで写すのか、水平垂直がきっちり取れているか、などを初心者のうちは全く考えないで、目の前に現れたシーンをそのまま撮るので、ただ写っているだけの写真になりがちです。
観光スポットとして定番の寺社仏閣などを撮る場合でも、整然と並んだ階段や、まっすぐ伸びる柱などをしっかり水平垂直に撮ることで、だいぶ見え方が変わると思います。