半逆光は手前が暗い
よく料理写真を撮るときや、ポートレート撮影なんかでも半逆光で撮ると美味しそうに撮れるであったり、ドラマチックに柔らかい雰囲気で撮れるから良いですよと言われると思いますが、個人的には半逆光をあまり過信し過ぎない方がよいかと思います。
それは、半逆光や逆光で撮ると、当たり前ですが手前が暗くなるからです。
さらに、半逆光かつ低い位置からストロボを当てていると、手前が相当暗くなりますし、一番見せたい部分には光が当たらず、ストロボ周辺だけが極端に明るくなり白飛びしてしまうことになります。
白飛びさせたくないからといって出力を下げたり絞ったりすると今度は全体が暗くなり、どうしようもなくなるといった状況に陥ってしまいます。
半逆光=美味しく撮るコツという表面的な言葉を信じてしまうと、想像していたより手前や全体が暗く写ってしまうので、本当に自分がイメージしているのはそういった極端に明暗差のついた絵面なのかということを、もう一度考えたほうが良いかと思います。

立体感という言葉も危険
半逆光の罠に陥ってしまうもう一つの理由としては「立体感」という抽象的な言葉が出回っているからだとも言えると思います。
「料理は立体感が命」そのためには半逆光で陰影を出してどうのこうのと誰もが解説すると思いますが、そこまで立体感にこだわりすぎなくても良いと思います。カメラにストロボをつけて直当てするような全く影が出ない撮り方をしなければ、普通に立体的には見えるので、そこまで立体感という言葉にとらわれなくても大丈夫です。
真トップを基準に考える
じゃあどういうライティングで撮れば良いのかということですが、料理の場合を考えてみますが、ほぼ被写体の真上から当てるライティングをとりあえずは考えてみるのがよいと思います。
そんな人工的なイメージのライティングで美味しそうに見えるのかとお思いかとは思いますが、おそらくほとんどの方は全体的にまんべんなく明るい写真をお望みかと思いますので、そういう意味では真上から当てるライティングは手前にも影ができづらく、かつほどよく陰影もついて非常に汎用的なイメージで撮れるのではと思います。
特に、「窓から光が差し込むイメージで」みたいなこだわりが無く、商品そのもの単体として過不足無く見せたい場合には、クセのない真上からのライティングがおすすめです。

ストロボの位置を前後左右に動かして微調整
ただ、本当にストロボの真下だと本当に何の陰影もない味気ないイメージに写ってしまうこともあるので、そういう場合に初めてストロボもしくは被写体を前後左右に動かしてみて、意図した方向に影が出るように微調整してみてください。
調整し終わったらストロボと被写体の位置関係を見てほしいのですが、意外とストロボの中心と被写体との間の角度はそこまで大きくついてはいないと思います。まだまだかなり真上に近い位置から光を当てている状態だと思います。
最初の半逆光の話に戻りますが、半逆光といっても実際にはその程度の角度で良かったということです。
被写体の正面から少しずらすだけで十分陰影はつきますし、立体感に見せることが分かると思います。
下の写真は気持ち高めの位置からやや逆光で光を当てていますが、違和感なく撮れているのではと思います。
統一感無くてすみませんが。。。




フィルライトに頼るな
手前が暗いならフィルライトを使えば良いじゃないかという意見もあると思います。
ただ、これも気をつけた方がよい点がありまして、暗くなった部分を十分に明るくするほどの光を当てると、今度はフィルライトの方がメインライトに見えてきてしまいます。また、半逆光で角度をつけた光が当たっているのに、なぜか手前も十分に明るいといった、あまり自然ではない雰囲気にもなってしまいます。
光は、一番強いものがメインに見えかつ一番影響力を持ちますので、まずは一灯目で自分の仕上げたいイメージになるべく近くなるように位置や光質を調整すべきです。