撮り方の話

写真のコツ|「切り取り過ぎ」は良くない

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写真は「引き算の芸術だ」と言われるが・・・

写真を始めた当初は、「写真は引き算の芸術だ」という言葉を目にし、画角から要素を減らすことこそ上達につながるものだと思ってしまっていました。

確かに、目の前に現れたものをその場からそのままの角度でただ撮るだけだと、その場面を説明する上で必要のないものまで写り込んでしまい、いわゆる散漫な画になるというのは分かります。

ただ、散漫になるからといって引き算すれば良いわけではなく、引き算のし具合によって写真の善し悪しは変わりますし、引き算しすぎるとどこでどう撮ったかが分からず、かえって理解に苦しむ写真も出てきてしまうということを最近よく思います。

引き算すれば良くなるわけでもない

引き算し過ぎることの弊害として、主題の周りの状況が分からず、どのような状況だったのかがつかみにくいことが挙げられます。周りの状況がある程度分からないと、その被写体のあり様であったり存在意義のようなものが写真を見ただけでは理解しづらくなり、好きな言葉ではないですが「ストーリー」が感じられにくくなると思います。

ストーリーが分からないと人間の想像がストップしてしまい、写真に奥深さのようなものが無くなるのではないかと思っています。

また、必要最小限しか写っていないと、あまりに具体的過ぎて、「で、これが何?」的なリアクションをされがちになるのではとも思います。人に見せるためだけに撮っているのではないとは思いますが。

主題を中心とした、形や色のバランス、取り合わせ、空気感などを伝える必要があるはずなのですが、主題そのものしか見えない構図になってしまうと、そういった周辺の状況が伝わらず主題そのものとしか見られない写真になる可能性があります。

写すべき要素の「粒度」をどう設定するか

要素を引き算するかしないかという考えとは別軸で、要素自体をどの程度の粒度で捉えるかという問題もあると思います。

例えば、「町並み」として捉えるか、「家」と「橋」と「道」として捉えるか、もっと細かくそれぞれの要素を分解して捉えるかという、何をどこまで要素として見るのかという問題です。

撮る本人がどこまで細かく要素として見ているかによって、何をどこまで引き算すべきかどうかも変わってきますし、立ち位置によっても細かく見る必要がある場合とそうでない場合があると思い思います。

例えば展望台から街を見下ろしているとすると、街全体や川といった要素は見る必要があっても、各家の屋根や壁といった要素までは見る必要がないといった感じです。

写真はバランス

何かに付けて、やはり写真はバランスが大事なのではと思います。

引き算せずにただ撮っただけだと、どこに感動してシャッターを切ったのかが分かりにくいですし、逆に意味もなく引き算し過ぎると、周囲の状況が分からず写真としての奥深さが無くなります。

引き算の芸術と聞いたからといって、ただ引くことだけを目的にするのでは良くないということを、もし初心者の方がいらっしゃたら僕はお伝えしたいなと思います。

「引き過ぎず、寄り過ぎず」「見せ過ぎず、見せなさ過ぎず」「やり過ぎず、やらなさ過ぎず 」が大切なのではないでしょうか。

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