そもそも良い構図とは
良い構図のコツは何ですかとか、どうやって撮れば良い感じに撮れますかといったことを質問される方は多いと思いますが、そもそも良い構図とは何でしょうか。
正直な話、良いということに絶対的なものはなく、あくまでより多くの人が良い感じに思えるというだけで、かなり主観的な部分が大きいとは思います。
なので、この良い感じかどうかを判断できるようになるために、色々なものを撮ってその目を鍛えていくことが、良い構図で撮れるようになるためには必要なことだと思います。
枝葉のテクニックではなく、本質を理解する
構図のコツを教えて下さいと言われて、「良い感じに見えるように撮る」と回答しても、質問した人はモヤモヤするだけで良い感じってなんだということになるわけで、手っ取り早く良い感じに見える写真を撮りたいからコツを聞いているのだと思います。
こういう悩みへの課題解決として、様々な媒体で「〇〇構図さえ覚えておけばOK」だとか「重要構図◯選」みたいなコンテンツがアップされているのだとは思いますが、これもあくまでそのコンテンツを成立させるための印象的なフレーズなだけであって、実際の場面でその構図がぴったり当てはまって良い感じに見えることはそんなに多くないのではと思います。
よく媒体等で紹介されている構図は、色々な写真を分析してみると〇〇構図や△△構図で撮られている写真がいくつか見つかったという、具体例から抽象化・パターン化しただけであって、それに当てはまらない写真は大量にあります。
色々な構図を覚えておくことはやめる
個人的には有名な構図の種類は知っておいても損はないと思いますが、構図を覚えておいてそれに当てはめて撮ろうとするのはやめた方が良いと思っています。
理由としては、覚えておいて咄嗟に引き出せる情報には限りがあり、いざ撮影するとなって自分の知っている構図に当てはまらない場面に出くわすと、どう撮ってよいのかわからず焦ってしまうからです。
実際の現場で焦らないためにも、そもそも構図が良いとは、バランスが良いとはどういうことかの本質のその一点を追求するようにすべきかと思います。
主題とその周囲の状況とのバランスが重要
僕は、良い構図とは、見出しにも書いている通り、一番見せたい主題が、周辺の環境や状況の中にバランスよく配置されていることだと思っています。
バランスよくというのも主観的な話になるので難しいのですが、チェックポイントとしては、
「見せたいものは端に寄りすぎていないか」
「端に寄せるなら寄せる意味はあるのか」
「見せたいものが見える大きさで写っているか」
「変な空きが無いか」
「状況説明に必要なものが最低限写っているか」
などが上げられるかなと思います。
例えば
◎ポートレートで被写体の横に何も無いのに理由もなく三分割構図にして被写体を横にずらす
◎ペットの写真なのに、広角すぎてペットが小さく、部屋など周辺の状況の占める割合が多すぎる
◎有名な建築のある観光地で撮った写真に、その建築物の特徴的な部分が写っていない
などがあると思います。
もちろん、所有機材の都合などで自分の目についたものが必ずしも大きく写せるとは限らないので、そういった場合は考えを変えて、今自分の手元にある機材で眼の前の状況をバランスよく過不足なく説明するにはどうすればよいかを検討する必要があり、そこがまた楽しい部分でもあります。
大事なことなのでもう一度書きますが、「構図を覚えておくことはしなくてよい」です。
よく目にする構図はバランスよく見える画面構成の一例に過ぎず、自分が撮ろうとしている被写体にぴったり当てはまるかは分からないので、バランス良いとはこういうことなんだなと理解する程度にとどめておく必要があると思います。
そのうえで、色々な写真を撮っていき、徐々にバランスが良い、良い感じとはこういうことなんだというのを身に着けていけば良いと思います。