先日、上野の国立西洋美術館で開催されている「松方コレクション」という展示会を見てきましたので、その所感を述べたいと思います。
入場料と展示期間
入場料・・・一般1名1600円
展示期間・・・2019年9月23日(月・祝)まで です。
会場:国立西洋美術館
会場である国立西洋美術館は、上の駅の西側にあります。
駅から上野公園へと向かう途中に、右手に見える建物です。
下の写真は、ヘラクレスの像越しに西洋美術館を撮ったものです。
松方コレクションとは
そもそも松方コレクションとは何なのかということですが、大まかに言うと、川崎造船所の社長だった松方幸次郎という方が集めた美術品の数々です。
松方幸次郎は、松方正義の三男で、川崎造船所の創業者の方に認められて造船所の社長に就任したそうです。
川崎造船所は現在の川崎重工の前身の前身みたいな会社だそうで、
「川崎造船所→川崎造船神戸工場→発展して企業に→川崎重工」といった流れとのことです。
松方幸次郎は、一次大戦で莫大な利益を出し、その金で美術品を買い集めたそうです。
ただ美術品を買い集めたのは自分のためではなく、日本の若い画家たちに西洋の作品を見せてあげたいといった気持ちからだったそうです。
その後、世界恐慌で美術館建築の計画が頓挫したり、二次大戦で作品を失ったりしたそうですが、フランス政府の協力などもあり日本に彼の作品が変換され、今に至るといった流れだそうです。
どんな作品が見られるのか
モネの睡蓮
一番の見どころは、モネの睡蓮かと思います。
入場するとすぐにモネの「睡蓮 柳の反映」という作品のデジタル復元が見られます。
このデジタル復元の絵は自由に撮って良いとの案内が出ていました。
この作品は、実物は展示室で本物も見られますが、上半分が無くなってしまっています。
そのため、同じ睡蓮を描いた作品の似た構図のものや、写真に撮られたものをもとに、AI技術などを使ってこの度デジタル復元したそうです。
写真だと大きさが伝わりにくいですが、横幅は3m以上はあったと思います。
おそらく実物と同じ大きさに作ってあるのではないでしょうか。
この大きさの絵はさすがに迫力ありましたよ。
下の2枚の写真が、その復元プロジェクトの説明です。
ゴッホやロダンも
入り口付近のデジタル復元の睡蓮以外は撮影禁止なので、写真を載せることはできませんが、ゴッホの「ファン・ゴッホの寝室」という作品や、絵ではありませんがロダンの「考える人」なども見られます。
他にも「あひるの子」や「牧草を刈る人々」といった作品も展示されています。
どう写真に活きるのか
光の表現が凄い
まず筆だけであそこまで光の表現ができるのかと感動しました。おめでたいシーンの絵には晴れの日の綺麗な光が、嵐の絵には暗くて怪しい雰囲気が描かれています。その絵のタイトルを知っていなくてもその絵の光の表現を見るだけで、というか見ようとしなくてもまず初めに目に入るのがそういった光の表現なのですが、作者や登場人物がどのような気持ちなのか、どういう風に見て欲しいのかが伝わってきます。
その光で何が伝わるか
写真に置き換えると、そのときのその光の質で、自分の撮ろうとしている被写体は良く見えるのかということや、逆に、その光の質で良く見える被写体は何かということを考えて撮る必要があるのだと思いました。
構図の重要性
構図も無駄がないというか、描かれているもの全てがその絵にとって重要な要素になっているという印象です。
見せたいものもはっきりしており、パッと見ただけで主題が目に飛び込んできます。そしてその周辺にある背景や建物などの要素が、主題をうまく説明するのに活きているという感じでした。
奇をてらわない
自分は下からあおって撮った方がかっこよくなるのではないか、斜め構図の方がダイナミックで良いのではないかなどと考えてしまうのですが、美術作品を見て考えを改めなければと思いました。見てきた作品には意味もなく角度をつけたりしているような作品はなく、ストレートに被写体やそのシーンの良さを伝えようとしている印象でした。
絵においても写真においても、主題や主たる被写体を明確にすることと、それを説明するために周りの要素をどう画角に入れ、ストレートに伝えるかが重要なことだと感じました。
注意事項
大げさな話ではないですが、作品数が結構多く、見るのが大変でした。
僕は16時頃入館したのですが、閉館時間までに全ての作品を見切ることができませんでした。
1つの作品をじっくり見すぎたというのもあるかもしれません。
作品が展示してある部屋は3〜4部屋分くらいあるので、1つの部屋でじっと留まらずペース配分を考えた方が良いかもしれません。